本 2

 

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きっと、誰かが手を差し伸べてくれるんだ、そしたら僕だってきっとその人を愛してあげることが出来るんだって思っていた磯村くんは、その差し伸べられる手が実は色んなところから色んな風に出て来るんだっていうことを知らなかったんですね。そして、差し伸べてくれる、その相手の方だって、色々こわいから、出したり引っこめたりしてるんだってことに気がつけなかったんですね。自分だって実はそんな風にしてるのに。

 

 

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ただ重傷といわれただけでは、ほんとうの傷はわからないのだ。なにかを芯から理解するには、おれたちにはストーリーが必要だ。

春がまためぐってくるように、おれたちの心には自分自身を修復しようという自然の治癒能力があるはずなのだ。そうでなければ、心なんて不便なものを、誰が一生もって歩くというのだろう。