2022年読み納め(本 8)

 

おれはたしかに その北極犬のせなかにまたがり 犬神のやうにのそのそ東へ歩き出す まばゆい緑のしばくさだ おれたちの影は青い砂漠の旅行者だ (真空溶媒)

 

この雪はどこをえらばうにも あんまりどこもまつしろなのだ あんなおそろしいみだれたそらから このうつくしい雪がきたのだ (永訣の朝)

 

わたくしのこんなさびしい考は みんなよるのためにできるのだ 夜があけて海岸へかかるなら そして波がきらきら光るなら なにもかもみんないいかもしれない (青森挽歌)