その2

3-2-2 晃牙くん

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  あんスタの1年間を「UNDEAD の成長ストーリー」という視点で見たときに、「薫くんと晃牙くんが歩み寄り、仲良くなっていった」という流れは、「UNDEADがユニットとして1つにまとまり、結束力を高めていった」と語るのに等しいと思う。

 私が一番印象に残ってるのは、イベント『復活祭』で晃牙くんに「愛だのなんだの、純粋に音楽をやりたいわけじゃない半端者」と言われた薫くんが、「純粋に音楽やりたいならアイドルを選ぶべきじゃないよね」と返すくだりです。なんでそこ?と思われるかもしれませんが、「確かにそうだよな…音楽だけを追求したいなら、アイドルはカテゴリがちょっと違うね…」と妙に納得させられた一コマ。

 ロックが好きで、朔間さんに憧れている晃牙くんにとって、女の子と遊んでばかりのチャラい薫くんは認められる存在じゃないし、薫くんは「わんちゃん何をそんなに怒ってるの…」とやる気なく過ごしていたので、当初2人にはかなり距離がありました。そんな2人が様々なイベントを通じて互いを認め合ってくという過程は、少年漫画っぽい爽やかさがあって好ましいなと思います。

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3-2-3 アドニスくん

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 アドニスくんのこの安定感はなんなのか…。局面によっては、アドニスくんがあんスタ内で1番年上で人生経験豊富な人物に見える。「争いが起こっていた祖国での王子様(のような存在?)」という立場が、懐の深さと物事に動じない力強さ、全体を俯瞰する広い視野を作り上げたのかな。

 薫くんとアドニスくんは、スカウト『千夜一夜』で仲良くなってくのが微笑ましい。地下のライブハウスでトラブルになっていたアドニスくんを助けてあげたり、ラジオの収録で緊張しているアドニスくんに、「君の声は優しくて穏やかだから、みんな話を聞いてくれるよ」とフォローを入れる薫くんが好きです。収録終わりのプチ打ち上げで楽しそうに笑う薫くんのスチルを見て、すごく幸せな気持ちになったなー。

薫くんの面倒見の良さと、アドニスくんの素直で努力家なところがよくわかる一幕でした。

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 素直といえば、イベント『キャロル』で「先輩たちを信じて、言うとおりにしよう。それで今まで困ったことは、そんなにない」と話してたアドニスくんも好きです。実感がこもっててちょっとウケた笑。晃牙くんとアドニスくん、後輩2人の先輩2人に対する共通認識なんでしょう笑。

 

3-3 他のキャラとの関係性

3-3-1 奏汰くん

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 アンデ以外で1番交流があるのが、同じ海洋生物部で友達の奏汰くん。初めて読んだ薫くんの個別ストにも登場していて、仲が良いんだなーと思いました。奏汰くんがにっこり笑顔で「かおる〜」って呼んでるのを見ると、私も癒される…。

 奏汰くんも薫くんも基本他人に干渉しないタイプなので、めずらしく薫くんの方が本音をさらけ出す形で奏汰くんの内面に踏み込んで、仲良くしているように見受けられます。

 そんな、図らずも?薫くんの本心に近づける機会の多い奏汰くんとのやり取りで1番心にグッときたのは、追憶『篝火』の海洋生物部でのワンシーン。奏汰くんが薫くんについてこう語っています。

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 これを読んだ時、あぁ、2年生の時、薫くんは寂しさを抱えて過ごしてたんだなと思ってすごく切なくなりました。

 カーテンのかかった薄暗い部室で、水槽の淡い光に照らされ1人佇む薫くん。想像したら泣けてきた…。

 『篝火』での奏汰くんは、一部の生徒から全知全能の神のように祭り上げられ、どんな願いでも受け入れて話をきいてくれる、異質の人物として存在していました。

 そんな、望めば何でも叶えてくれる(とされている)奏汰くんのそばにいて、なのに何も願わず、「さびしい」とだけ口にする薫くん…。たぶんその時、頭の中には亡くなったお母さんが思い浮かんでいたと思います。

けれど、どんなに切望しても、亡くなった命は戻ってこない。それがわかっているから、奏汰くんには何も願わない。奏汰くんがやっていることを否定することもなく、ただそばにいる。

 薫くんが普段隠している心の柔らかい部分と、周りの動向に流されない芯の通った部分どちらも感じられて、直接薫くんが登場しないにも関わらず心を抉られたシーンです。

 

〈つづく〉